にっぽもん

「なんかいいな」そんな出会いがありますように。「とってもいいな」になりますように。

お米が溶けた備前のグラス 後編

どうも、gaucheです。

備前焼の職人を目指して大学に入り、ガラスの道に進んだ花岡さん。

 

ものをつくる仕事って大変だなあというお話、たくさんお聞きしました。

リアルな声、しっかり聞いてきました。

さあ、後編です。

 

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この手から素敵な作品が生まれています

《価格ってどうやって決めてるんですか?》

ちょっと生々しいこと聞いちゃいました。

 

中屋さんで見たとき、個人工房で手の込んだグラスにしては、手に取りやすい価格帯だと思ったんです。

全体的に3千円代から5、6千円くらいで、贈り物なんかにはぴったりだと思いました。

 

「ガラスってそんなに原料代高くないんですよ。砂なんですけどね。1番値段に反映してるのが、ガス代と電気代、どれくらいかわかります?」

 

いきなりのクイズ、全然わからないです。

 

「ガスは2日で普通の家庭の一ヶ月分。1か月で1トンくらいかな。」

 

トンですか...トン?

ピンとこなかったのでちょっと考えてみます。

4人世帯で平均6千円くらいだそうで、

https://enechange.jp/articles/gas-bill-average

参照

平均6千円と仮定して計算してみると

15×6000円で9万円

個人工房だと結構な額ですよね。電気代も相当なんだろうと思います。

 

原料代、光熱費、それから製作にかかった時間を考慮して値段を決め、その値段が妥当か再考します。卸すときのことも考えなくてはなりません。利益配分が50%ずつだと、1万円のものが売れて喜んでも、実際の取り分は5千円になってしまうので。

 

「高いって言われることもあるんですよ。

だって100均でも買えるじゃないですか、手作り風のやつ。」

 

たしかに私も飼ってるベタを入れてる器は100均のグラスです。

 

それでいいじゃんと思う人はそれでいいと思うんです。わざわざ高いの使わなくても。

その値段の違いで何が違うのっていう、そのイメージを変えていくのが僕らの仕事だと思います。

 

感動して、帰りに買ったグラスを、ベタにあげました。(名前はベー太郎)

 

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水が入ってると透けた光がきれいです

 

 工房に併設されたギャラリーでお話を聞いたので、ぐるっと見回して。

《一番のお気に入りってありますか?》

 

花岡さんが手に取ったのは大きめのピッチャー。

「こうやって片口がついてるやつですね。垂れないように作ってます。」

手作りだから垂れてもいいじゃないっていう人もいるけど、それを絶対に、絶対切れるように、いっぱい研究しました。

かなり情熱がこもっている注ぎ口のようです。

 

はじめにお寿司屋さんが買ってくださったのですが、後に、一滴だけ垂れるから一滴も垂れないのが欲しいと言われたのがきっかけだそうで、お寿司屋さんに行って研究を重ねたそうです。

今ではお得意さんなのだとか。

 

《ほかにも嬉しいお話ないですか?》

 

お店で使ってもらっても嬉しいし、買っていただく時もうれしいんだけど、それ以上に器を置いてくださるお店の方に見つけてもらえる時が何より嬉しい。

「そのお店の先にお客様がいて、紹介したいって思ってもらえる。そういう嬉しさっていいよね。」

 

なんだろう、『いいね』してもらえた感じ。

 

リアルSNSやってます。と、わかりやすく嬉しいの感情を共有していただきました。

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工房の中、こんな感じです

《花岡さんの未来のビジョンを教えてください。》

 

「結局はうつわを使ってもらうっていうのは変わらないけど、建築とかに使ってもらえるものを作れたらいいな。」

たとえば、マンションのエントランスに飾ってもらえるおっきなレリーフとか。

 

確かに花岡さんの作品は生活周りのものが全般です。

うつわだけじゃなくて花器やランプなんかもあるので幅は広めです。

 

「吹いて作る環境だから180度変えて何かを作っていくには、まだベースが心もとないかな。人手を増やすことも考えているけど、なんにせよ収入が少ない。」

やったぜ儲けたぜ。みたいなことは毎年ないよ。楽しいけどね。

 

「今後は生き残っていく、そのためにどう舵を取るか。かな。」

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実際に一つ、説明しながら作ってくださいました!

 

【生き残っていく、この備前の町で末永く愛されたい。】

花岡さんの言葉たち、ちゃんと心に刻みました。

このすてきなガラスがいろんな人の手に届いて、いろんな人に愛されるように

微力ながらも応援していきたいと思います。

花岡央さん、ご協力ありがとうございました。お昼ごちそうさまです。

 

花岡さんが、備前はお醤油がおいしいとおっしゃってたので、お醤油を買って帰りました。めちゃめちゃおいしいです。

お醤油の話は新潟のおかずの話と一緒に番外編でも開きます。

 

この出会いがまた、誰かの出会いにつながりますように。

閲覧ありがとうございました。gaucheでした。