繋げるため、続くため
どうも、gaucheです。
ご無沙汰しております。なぜか忙しい大学生でございます。
井上仏壇 さんに行って参りましたのでレポートです。
というのも、大学の教授に、カラフルな漆塗りの器を作ってる仏壇屋さんがあると聞いたので思い立った次第です。
彦根は300年ほど続く仏壇のまち。
そして彦根仏壇は、伝統工芸の親分のような存在でもあります。
コートがいらなくなった気温の中、Google mapとにらめっこしながらたどり着いたのは、古めかしい家に囲まれて建っているお洒落なお店。
あれ、仏壇屋さん? と首をひねりながら、確かに井上仏壇と書かれたのぼりを見て安心しました。
引き戸を開けて入ってみると、ちゃんと仏壇屋さん。ふんわりと漂うおばあちゃんちの匂い。
洗練されていて綺麗な店内には、仏壇たちとは毛色の違う、小洒落た食器類のスペースが。
シリーズ名はchanto。
公式ホームページ http://www.chanto.org/
今はHPになぜだかアクセスできないので紹介ページを一緒に載せておきます(職人ドットコム)https://www.shokunin.com/jp/chanto/
カラフルな漆塗りを眺めていると、奥からお店の奥さんが顔を出し、事情を説明すると二つ返事で店内を案内していただけることになりました。
chantoシリーズは四代目の井上昌一さんが、この仏壇の需要が低くなった中で技術を駆使して何かできないかと考えた末の試行錯誤のブランドです。
chantoシリーズの最大の武器である色とりどりの漆は、最近できるようになった技術であり、作る日の天気や気温、湿度で色合いが変わってしまうのだとか。それを上手に調節するのが職人さん。
そんな職人さんたちもほとんどの方が60歳を超えているそう。後継者問題を身近に感じ、何と言ったらいいのかわからなくなりました。
インターンもおこなっているそうで参加者は一定数いるのですが、その後には繋がらないのだとか。
こういった問題を解決する手立てを探すためにも私は勉強とフィールドワークを続けております。しかしなかなか難しい。まだまだなんの力にもなれません。
軌道修正してカラー漆のお話
chantoシリーズは第二弾まで作っているそうなのですが、第一弾は使っている木材も日本のいいものを使っている純日本産。種類としてはトレーやエスプレッソカップ、コーヒーミルなど。第二弾の製品はコストを抑えるために少し木材を妥協したそうです。
第一弾は特に北欧の国の方々にウケたのだとか。けれどエスプレッソカップやトレーでは日本やアメリカでの需要が少なく、また純国産のため値段も手が出にくかったようで、第二弾ではコーヒーカップやカトラリーなど比較的手に取りやすいラインナップに。
それでもここは仏壇屋さん。カップが一つ売れたとて、仏壇が売れたときの利益とは雲泥の差です。ましてや今の時代、仏壇があるおうちの数が少ないのは想像に難くありません。
そして もう一つの四代目の試行錯誤がウォッチワインダー用ケース。
私のような貧乏学生には縁のない品ですが、これが意外と海外の方から注文が来るのだとか。
1個用から18個用まで幅広いラインナップで、仏具の技術を惜しげもなく使っており非常にクールなルックス。彦根城をイメージしたものなど好きな人にはたまらないものでしょう。
18個用の大きなケースは、扉を閉めると見た目がほとんど仏壇と変わらず、以前にはフォルムに感激した海外の富裕層のお客さんが、全面金色にしてくれ!という大胆な注文をされたのだとか。
沢山お話を聞いて、パンフレットもいただいて
お話の最後にお決まりのように聞くこと。
抽象的な質問で申し訳ないのですが、10年後のこのお店の理想像を教えてください。
井上さんは、そうねえ。と少し考えた後、「今は留学中の息子が後を継げるように、仏壇ともう一つ、二つ合わせて戦っていけるような、時代に合ったものを何かつくりたい。」
そうおっしゃっていました。
ものづくりの現状のリアルでシビアなお話を聞いた、胸になにか刺さったような春でした。
この出会いがまた、誰かの出会いにつながりますように。
閲覧ありがとうございました。gaucheでした。